とべないホタル
2026年07月07日
とべないホタルは、森のはずれに生まれた小さなホタルです。仲間たちのように高く飛ぶことはできませんが、地面の近くでそっと光り、足もとをやさしく照らします。最初は自分だけがうまく飛べないことを恥ずかしく思い、夜空を見上げてはため息をついていました。しかし、森の動物たちは、彼の低い位置からの光が道しるべになっていることに気づき、少しずつ感謝の言葉を伝えるようになります。
やがてホタル自身も、自分の光が誰かの役に立っていることを知り、飛べないことを悲しむのではなく、自分にしかできない役割を大切にしようと決心します。この物語は、できないことではなく、できることに目を向ける勇気と、自分らしさを受け入れる心の強さを静かに教えてくれます。子どもから大人まで、読む人それぞれが自分の歩幅で前に進む力をもらえる、あたたかなストーリーです。

とべないホタルの世界には、さまざまなキャラクターが登場します。高く飛ぶことが得意で少し自慢げなホタルたち、森の出来事を静かに見守るフクロウ、暗闇がこわくて夜に出歩けない小さなウサギなど、それぞれが悩みや願いを抱えながら暮らしています。物語が進むにつれて、彼らは互いの違いを認め合い、支え合うことで、森全体がよりあたたかく、やさしい場所へと変わっていきます。
ページをめくるたびに、夜の森の静けさや、ホタルの淡い光が目に浮かぶような情景が広がり、読み終えたあとには、心の中に小さな光がともるような余韻が残ります。自分に自信が持てないとき、誰かと比べてしまうときに、そっと寄り添ってくれる一冊として、読み聞かせやプレゼントにもぴったりの作品です。
